本文へスキップ

東京民報は東京が見える、東京を変える新聞です。

大震災被災者励ますシンガー 大島花子さん

大好きな歌で喜んでくれたら… 父・坂本九さんの思い継ぐ

大島花子さん

 26年前、日航ジャンボ機墜落事故で犠牲になった人気歌手、坂本九さんの長女でシンガーの大島花子さん(37)が、東日本大震災の被災者を歌で励ましています。被災地にも足を運び、父の歌「上を向いて歩こう」などに自分の思いを重ねて歌いました。被災した友人に贈った自作の歌「Lumiere」(ルミエール=光)は、被災者を思う人たちの共感を呼んでいます。「大好きな歌で、みなさんに喜んでもらえたらうれしい」

 「粉ミルクがない。助けてほしい」。大震災から約1週間後、生後6カ月の子がいる仙台市の友人から連絡がありました。流通がストップし、粉ミルクが手に入らないというのです。
 「もし子どもにミルクを飲ませられなかったら…と想像すると、居ても立ってもいられなくなりました」
 大島さんにも2歳の男の子がいます。ツイッターで呼びかけると、仙台市に住む知人の母親が粉ミルクを届けてくれました。「郵送します」といってくれる人も現れました。

友人に贈った歌


 困っている人たちがたくさんいるのに何もできない自分。そんなやりきれない気持ちを抱いている人たちも、周りにたくさんいました。「私に何ができるのか、自分自身を奮い立たせるように歌をつくりました。小さな光でも集められたらきっと未来を照らすことができる。そんな思いを、遠く離れている友人に伝えたかったのです」
 できあがった歌が「Lumiere」でした。3月にあったチャリティーイベントで披露すると、会場にいた母親や女性たちが涙に包まれたといいます。その後、ブログなどで話題になりCDとして発売。そのCD1枚(1000円)につき700円が国際NGOのジョイセフに寄付され、被災地の女性や妊産婦の支援活動に使われることになりました。
 6月、福島県郡山市の避難所で、7月には宮城県釜石市の被災者を前に、ミニライブを行いました。母で女優の柏木由紀子さん(63)と、妹で女優の舞坂ゆき子さん(34)でつくる家族ユニット「ママ・エ・セフィーユ(母と娘たち)」として出演。坂本九さんの「上を向いて歩こう」の曲を流しながら歌いました。
 「被災者の方々に何かして差し上げるというよりは、むしろ皆さんのお元気な姿に私たちが励まされ、勇気づけられました。音楽って、共有しあえるところに意味があることを強く感じました」
 大島さんは音楽への思いをさらに深くしたといいます。

父を誇りに思う
 

 坂本九さんが事故にあったのは、大島さんが11歳のときです。小さい頃から、記念日があると、それぞれが作詞作曲して歌をつくるほど、家庭にはいつも歌があふれていました。事故は・パパっ子・だった大島さんにとって、言葉にできないほどのショックだったのです。そして家族にとっても、父の歌を「まったく聴けなくなった」ほど辛い日々が続きました。
 大学卒業後、ミュージカルで初舞台を踏み、その後ニューヨーク大学のミュージカル学科に留学。音楽で表現したいとシンガーを志しますが、自分を見つめ直すためOL生活を1年間経験しました。
 「初めて音楽を聞く側になり、行き帰りの電車の中で音楽を聞きながら改めて音楽のもたらす力を感じました。やはり届ける側に立ちたいと思いました」
 その頃から、「何気ない日常、かけがえのない日常」をテーマに、作詞作曲の活動をするようになり、ライブ活動も始めました。
 事故から16年たった2001年、九さんの「明日があるさ」のリバイバルヒットが社会現象になり、3人による「明日があるさ」を発売。04年には3人で未発表の歌を選び、CDを発売するまでになりました。
 そして、大島さんはシンガーソングライターとしても活動を本格化。父と同じ音楽の道を歩むいま、歌手坂本九さんをどう思っているのでしょうか。
 「大先輩というか、雲の上の人という気持ちもします。生きていたら音楽について、いろいろ聞いてみたかったですね。子どものころから、家族のものでない、みんなのものという寂しさはありましたが、今は誇らしく思います」
 そして、こうもいいます。「時間が解決してくれることもありますが、悲しみに終わりはありません」

親子ライブ好評

 大島さんはライブを中心としたコンサート活動を行っています。ライブでは日常の生活から思い感じることをさりげなく語り、自作の曲やカバー曲をしっとりと歌います。坂本九さんの歌には涙をにじませる人たちの姿もあります。
 子どもを出産してからは、定期的に「ママカフェ」という親子ライブを開いています。子どもがいて外に出かけられない親子に、気兼ねなくたっぷりと音楽を楽しんでもらおうと始め、大好評です。
 乳がんの早期発見・診断・治療の大切さを伝える「ピンクリボン」のイベントにも積極的に参加しています。
 「私に与えられた楽器が『声』。それを奏でることで、人に喜んでもらえることがうれしくて。子どもができてからは、前よりももっと歌いたくなりました。子どもたちが純粋に音楽を楽しむ姿を見て、歌を聞かせてあげたい、命の尊さを伝えたい、という気持ちが強くなりました」

【主なライブ予定】
12月4日(日)坂本九生誕70年記念 みんなで歌おう!九ちゃんの歌 サンピアンかわさき・ホール 大島花子トーク&ライブ 入場無料
12月7日(水)ママ・エ・セフィーユ クリスマスコンサート2011


(東京民報2011年10月2日号に掲載)

バナースペース



心つなげよう!! 

東京タワーから光のメッセージ